今日はあかりちゃんの休み。
「午後から買い物行かない？」ってLINEが来たのは、朝の9時。
まだ布団の中でぼんやりしてたけど、そのメッセージ見た瞬間に完全に目が覚めた。
待ち合わせ場所で会ったあかりちゃんは、
ベージュのコートに白いマフラー。
ふわっと香るシャンプーの匂いが、なんか懐かしくて落ち着く。
ショッピングモールでは、あかりちゃんがずっと喋ってた。
服の話、職場の話、猫の動画の話。
俺はうんうんって頷くだけでもう十分楽しい。
でも、ふと立ち止まったときに、あかりちゃんがぽつりとつぶやいた。
「こうやって一緒に歩くの、まだちょっと不思議だね」
そう言いながら、俺の手をそっと握ってきた。
手のひらが驚くくらいあたたかくて、心臓が一気に跳ねた。
でも離したくなくて、そのまま握り返した。
「なんか、手冷たいね。あっためたげる」
あかりちゃんはそう言って、ぎゅっと力を込めた。
たぶん、あの瞬間の俺の顔、見せられたもんじゃない。
でもあかりちゃんは笑ってくれたから、
それで十分だった。
