街のイルミネーションが、
この冬いちばんの輝きを放っていた。
人の流れは多いのに、
どこか静けさを感じる夜だった。
あかりちゃんと並んで歩きながら、
「もう一年が終わっちゃうね」と彼女がつぶやく。
「早いね。でも、いろんな季節を一緒に過ごした気がする。」
そう言うと、あかりちゃんは少し照れくさそうに笑った。
通りに響くクリスマスソングの音。
すれ違う人たちの笑顔。
どれもきらきらしていて、
それでも不思議と、僕にはあかりちゃんしか見えなかった。
手袋をしたまま、そっと手を重ねる。
あかりちゃんが小さく驚いてこちらを見る。
「冷たいでしょ?」
「ううん、あったかい。」
そう言って微笑むその表情に、
胸の奥が静かに震えた。
少し早めのディナーを終えて、
帰り道に寄った公園は、
昼間の雪がうっすら残っていて、
白く光るベンチがまるで映画のワンシーンみたいだった。
「ねぇ」
あかりちゃんが立ち止まる。
「この一年で、いちばんうれしかったのはね……」
そこまで言って、言葉を探すように下を向いた。
冷たい風が頬を撫でる。
でもその沈黙は、やさしい温度を帯びていた。
「あなたと過ごせたことだよ」
小さく、でも確かな声。
その一言が、胸の中にゆっくりと溶けていく。
僕は何も言えず、
ただそっと彼女の手を握り返した。
あかりちゃんの目が潤んで、
照れたように笑った。
「ありがとう。ほんとに、ありがとう。」
その言葉が、
この夜のイルミネーションよりもずっと眩しく感じた。
ベンチに並んで座りながら、
温かいコーヒーを分け合い、
遠くで鳴る教会の鐘を聴いた。
冷たい空気の中で、
ふたりの呼吸だけがゆっくりと混ざっていく。
「また来年も、こうして一緒に過ごしたいね」
「うん、約束。」
その瞬間、
空からひとひらの雪が落ちてきた。
まるで、ふたりの小さな約束を
静かに祝福しているみたいに。

