12月のはじまり。
風は冷たいけれど、空は澄んでいて、
日差しが少しだけやわらかく感じた。
「今日は外に出たい気分」と、あかりちゃんが言った。
厚手のコートにマフラーを巻いて、
小さな保温ポットと手作りのサンドイッチを持って、
近くの公園へ出かけた。
木々の葉はほとんど落ちて、
地面にはカサカサと音を立てる落ち葉の絨毯。
ベンチの上にブランケットを広げて座ると、
あかりちゃんが手をこすりながら笑った。
「冬にピクニックって、ちょっと変かな?」
「ううん、こういうの、いいよ。」
「じゃあ成功だね。」
そう言って、あかりちゃんは小さな魔法瓶を開け、
湯気の立つ紅茶をそっと注いでくれた。
カップを受け取ると、手のひらに温もりが広がる。
「はい、あったまって。」
その笑顔が、どんな陽だまりよりもあたたかかった。
二人でサンドイッチを食べながら、
通り過ぎる子どもたちや犬を眺めて笑い合う。
何でもない会話なのに、
心の奥がぽかぽかして、
冬の冷たささえ愛おしく思えた。
「ねぇ」
ふと、あかりちゃんが言った。
「こうして一緒にいられる日が、増えてくのが嬉しい。」
その言葉に、胸の奥がじんわりと温まった。
「これからも、いっぱい作っていこうね。」
そう言って、彼女の手を包むと、
少し冷たかった指先が、すぐに柔らかくほどけていった。
風に舞う木の葉が、陽の光を受けてきらめく。
ふたりの間に流れる時間が、
冬の午後をゆっくりと溶かしていくようだった。

