〈3日目:古宇利島で過ごす、ふたりだけの“特別な青”に包まれた日〉
3日目の朝は、昨日よりもさらに深く、ゆっくりとした静けさの中で目が覚めた。
カーテン越しの光は柔らかく、まるで「今日もいい一日になるよ」と優しく肩を叩いてくれるようだ。
隣を見ると、あかりちゃんは丸まるように眠っていた。
旅の疲れか、安心しているのか、胸の前でぎゅっと抱えた腕が小さく動いている。
そっと髪を撫でると、ふにゃっとした声で「ん…おはよう…」と言って目を開けた。
「今日、古宇利島行くんだよね?」
「うん。沖縄でも、特別きれいな場所だって」
「あー…楽しみ…」
まだ眠そうな声で、でも嬉しそうに笑うその姿に、また胸が温かくなった。
■ 古宇利大橋を渡る、特別な朝のドライブ
レンタカーで北へ向かい、しばらく走ると、視界の向こうに長い橋が現れた。
古宇利大橋――沖縄で一度は見るべきと言われる絶景だ。
「うわ……」
思わず声が漏れた。
両側に広がる海は、見たこともないほど透き通ったブルー。
太陽の光を受けて、水面が宝石みたいに輝いている。
助手席のあかりちゃんは、窓に顔を近づけながら目をきらきらさせていた。
「すごい…すごい……! ねぇ、こんな海あるんだね…」
「うん。一緒に見れてよかったよ」
そう言うと、あかりちゃんは照れながら、でも嬉しそうに手を伸ばしてきて、指を絡めてきた。
橋を渡る数分間、その手をまっすぐ繋ぎながら、言葉にできない幸福が胸いっぱいに溢れた。
“夫婦になった”という実感が、静かに深く染みてくる。
■ ふたりで歩くビーチと、柔らかな風
古宇利島に入り、橋のすぐ下にあるビーチへ降りた。
海は信じられないほど透明で、砂の粒ひとつひとつが白く光っている。
靴を脱いで裸足で歩くと、砂がふわりと温かかった。
波の音だけが響く中、あかりちゃんが腕にそっと絡んできた。
「ねぇ…今日ね、ずっとあなたといたいって思ったの」
「今日“も”でしょ?」
そう返すと、彼女は頬を赤くして小さく笑った。
ふたりで並んで歩くと、風の匂いも、光の色も全部ふたりを包むようで、
“ここに来た意味”が自然と胸の奥で膨らんでいった。
■ カフェでのんびり過ごした、夫婦らしい午後
古宇利島の高台にある海の見えるカフェに入った。
窓際の席からは、海が水平線まで広がって見える。
「こんなところで暮らせたらいいね…」
ぽつりとあかりちゃんが言う。
「うん。毎日こんな景色が見れたら贅沢だな」
「でも…」
あかりちゃんはストローをくるくるしながら、照れたように続けた。
「あなたがそばにいてくれないと、意味ないけどね」
その言葉が、胸の奥にじんわりと広がっていく。
「ずっと一緒にいるよ」
と言うと、彼女は目を伏せながら小さくうなずいた。
“夫婦らしい時間”とは、こういう穏やかな瞬間の積み重ねなんだと気づく。
■ 丘の上のハートロックで、深まる想い
午後は“ハートロック”と呼ばれる岩のあるビーチへ向かった。
潮風の強い場所で、海の力を感じながら歩く。
観光客が少ないタイミングを見計らって、並んで写真を撮った。
波の音の中、あかりちゃんが急に袖を引いた。
「ねぇ……ここ、すごくいい場所だね」
「うん。きれいだよな」
「…こういうとこでね、あなたと一緒にいられるって……なんか、胸いっぱいになる」
頬が赤くなるのが見て分かるほど、真剣な表情だった。
風がふたりの間を抜けていく。
海の色も、波の音も、空の高さもすべてが “特別な時間” をつくっていた。
「俺もだよ。あかりと来れてよかった。
未来の景色も……全部一緒に見たい」
そう言うと、彼女はそっと指を絡めてきて、小さく「うん」と答えた。
その「うん」は、ただの返事じゃなく、
“これからも共に歩く”という静かな誓いのように聞こえた。
■ 夕暮れの橋で見た、忘れられない色
帰り道、もう一度古宇利大橋を渡った。
夕日が橋全体をオレンジ色に染め、海は金色にきらめいていた。
車を停め、少しの間、橋の端から景色を眺めた。
あかりちゃんは風に髪を揺らしながら、
「こんなの見たら、帰りたくなくなるね…」
とつぶやいた。
「帰らなくていいよ。また来よう」
「ほんと?」
「うん。何度でも、一緒に」
あかりちゃんは照れながら、でも迷いのない笑顔でこちらを見つめた。
その目の奥には、未来そのものみたいな光が揺れていた。
■ 夜、ホテルの部屋で見つめ合った穏やかな時間
ホテルに戻り、シャワーを浴びてベッドに並んで横になった。
窓の外には夜の海が静かに広がっている。
「今日ね…すごく、すごく幸せだった」
あかりちゃんが胸に顔を寄せて言った。
「俺もだよ」
「ずっと…一緒にいられる気がする」
「いられるよ。これからも、ずっと」
そう言うと、彼女は小さく体を寄せてきて、ぎゅっと抱きついてきた。
言葉よりも、抱きしめる力のほうがずっと雄弁だった。
こうして、3日目の夜は静かに幕を閉じた。
でも胸の奥では、ふたりの未来が確かに形になりはじめていた。

