「あかりちゃんの手作り弁当」
朝、目を開けると、いつもより早くあかりちゃんが起きていた。
キッチンから小さな物音が聞こえて、
カタカタとまな板を叩く音が規則的に続いている。
枕の上で少しぼんやりしながら時計を見る。
まだ出勤の2時間前だ。
“何してるのかな…”と思いながら起き上がり、
そっとキッチンをのぞくと、
あかりちゃんが髪を後ろで結んで、
真剣な顔で卵焼きを巻いていた。
「おはよう、あかり」
声をかけると、彼女は驚いたように振り返って、
少し恥ずかしそうに笑った。
「…おはよう。あのね、今日はね……弁当作ってみたの」
「弁当?」
「うん。あなたに持っていってほしくて…」
そう言うと、卵焼きの形を整えながら
頬がほんのり赤くなる。
“新妻の手作り弁当”なんて、漫画みたいな言葉が頭に浮かぶ。
でも目の前の光景は、漫画よりずっと温かくて現実的で、
幸せの匂いがしていた。
■ 朝のキッチンに満ちる、やさしい空気
横に立って覗き込むと、
お弁当箱には色とりどりのおかずが丁寧に並べられていた。
・甘めの卵焼き
・鶏の照り焼き
・ほうれん草のおひたし
・ウインナーに小さく切れ目が入ったもの
・彩りのミニトマト
それに、小さな紙カップに入ったポテトサラダ。
「これ全部、朝から作ったの?」
「うん。昨日の夜、どうやったら可愛く詰められるかなって調べたの」
「すごいな…」
「すごくないよ。でもね…
あなたに“美味しかったよ”って言ってもらえたら、
きっとすごく嬉しいと思って」
その言葉だけで、
今日一日の疲れが全部吹き飛びそうだった。
■ 出勤前の、ふたりの静かな時間
朝ごはんを食べて、出かける準備をしていると、
あかりちゃんが玄関まで見送りに来てくれた。
手には、布の包みに包まれた弁当。
包みの端っこを指先でぎゅっと持ちながら、
「これ、ちゃんと食べてね」と渡してくる。
「もちろん。ありがとう」
「……今日、仕事がちょっと大変なんでしょ?」
「うん、少しね」
「じゃあ、これが少しでも元気になる手伝いをしてくれたらいいな」
その言葉が胸に響く。
弁当よりも、その気持ちが、何より嬉しかった。
靴を履こうとするとき、
あかりちゃんがそっと袖をつまんだ。
「……行ってらっしゃいのキス、してもいい?」
新婚らしい甘さに、不意をつかれた。
もちろんだよ、と言って軽くキスをすると、
彼女は恥ずかしそうに笑って手を振った。
「あのね、帰ってきたら感想聞くからね?」
「楽しみにしてて」
「うん! ぜったい、ぜったい言ってね」
その声が耳に残ったまま、玄関の扉を閉めた。
補正下着からセクシーランジェリーまで!レディースインナー通販【tu-hacci(ツーハッチ)】■ 昼。お弁当の蓋を開けた瞬間
職場の昼休み。
机の上に弁当を置いて、そっと包みをほどく。
その瞬間、胸がぎゅっとした。
料理の色合い、詰め方、
少し曲がったウインナーの上に乗った星形のピック。
完璧じゃないところが、逆にたまらなく愛しい。
箸を入れると、どれも優しい味がする。
プロの料理ではない。
けれど、その何倍も心にしみる味だった。
“朝早く起きて作ってくれたんだ”
“俺のために一生懸命考えてくれたんだ”
そう思うと、胸の奥がじんわりと温かくなる。
ふと、弁当箱の端に小さな付箋が貼ってあるのに気づいた。
『午後もがんばってね。帰ってきたらギュッてしてあげる。
あかり』
すこし顔が熱くなる。
でも、こんな幸福なら、いくらでも照れていい。
■ 帰宅後の、最高の“ただいま”
仕事を終えて帰り道を歩くとき、
今日ほど家に帰りたいと思った日はなかった。
玄関を開けると、
すぐにあかりちゃんがぱっと顔を上げて駆け寄ってくる。
「おかえり! 弁当…どうだった?」
「最高だった。ほんとに美味しかったよ」
その言葉を聞いた瞬間、
あかりちゃんは胸に飛び込むように抱きついてきた。
「よかったぁ…! すっごく心配だったの」
「心配なんていらないよ。全部美味しかった」
「ほんと? ウソじゃない?」
「ウソつくわけないだろ」
「えへへ…嬉しい。もう一生分嬉しいかも」
彼女の体温が腕の中で落ち着いていく。
こんなにも“帰ってきてよかった”と思った夜はない。
■ 弁当がくれた、小さな約束
その晩、あかりちゃんがぽつりと言った。
「これからね、あなたが大変な日ほど、
お弁当作ってあげたいなって思ったの。
あなたの力になりたいって、ずっと思ってたから」
“支え合う”ってこういうことなんだと、
あらためて胸にしみた。
「じゃあ…また作ってくれる?」
「もちろん。
だって私は、あなたのお嫁さんなんだから」
彼女の笑顔は、どんなご馳走よりも心を満たしてくれた。

