【恋愛日記㊲】🌙 家族の話をきっかけに、より強い絆を感じる夜

恋愛日記(あかりちゃん)

その日の夜、僕は少し早めに仕事を終えて帰宅した。
扉を開けると、ふわりとミネストローネの香りが漂ってきた。
「おかえりー!」
明るい声に振り向くと、あかりちゃんがエプロン姿でキッチンから出てきた。
ほっぺがほんのり赤くて、湯気に照らされて柔らかい笑顔をしている。

「あ、ちょうどできたところだよ。
 今日はね、なんかあったかいの作りたい気分だったの」

たったその一言で、“ああ、今日もこの家は帰る場所だ”と胸が温かくなる。
ふたりで並んで食卓につき、いつもよりゆっくり時間をかけて食べた。
テレビの音より、スープをすくうスプーンの音のほうが大きい、静かで落ち着く時間。

食後に片づけを手伝っていると、あかりちゃんがぽつりと言った。

「ねぇ……昨日の話、ずっと頭から離れなくてさ」
「家族のこと?」
「うん……なんかね、考えるだけで胸がぎゅってなるの。
 怖いとかじゃなくて……すごく、あったかい感じで」

僕は手を止めて彼女を見る。
あかりちゃんはスポンジを握ったまま、ちょっと恥ずかしそうに微笑んだ。

「あなたと、ひとつ屋根の下で暮らして、
 同じものを食べて、同じベッドで寝て、
 同じ夢の話をして……
 それだけで十分幸せなんだけどね……
 もっと先の未来も、あなたと一緒に見たいって思うの」

その言葉を聞いた瞬間、胸が深く静かに熱くなった。

片づけを終え、ふたりでソファに座ると、
あかりちゃんは少しだけ身体を寄せてきた。
その仕草があまりにも自然で、あまりにも愛おしい。

「あなたってさ、私の人生の“中心”になっちゃってるよね」
「うん、僕もだよ」
「えへへ……そうだといいなと思ってた」

彼女は照れ隠しのように笑いながら、僕の指を絡めてくる。
その手の温もりに、昨夜の会話の余韻と、
これからの未来への静かな期待が溶けていた。

しばらく沈黙が流れ、その静けさが心地よくて、
僕は彼女の肩をそっと抱き寄せた。
あかりちゃんは抵抗もせず、むしろ安心したように僕の胸に顔を寄せる。

「ねぇ……あなたと一緒にいるとね、
 未来って、こんなに柔らかいものなんだって思うよ」
「柔らかい?」
「うん。なんでも怖くなくて、
 どんな風に変わっていくんだろうってワクワクするの」

その言葉が、心の奥で静かに響いた。
この人と生きていくという選択が、
どれほど僕の人生を豊かにしてくれているのか、改めて気づかされる。

「……あかりちゃん」
名前を呼ぶと、彼女は胸の中で小さく反応した。

「これからもずっと、一緒に未来を決めていこう」
「うん……ずっと一緒にいようね」

彼女は小さく返事をして、僕のシャツをそっと握った。
その細い指先から伝わる温度が、まるで小さな“誓い”みたいに感じられた。

夜の静寂が深まる中、
ふたりはただ寄り添い、鼓動を感じ合う。

家族の話をしただけなのに、
こんなにも絆が深くなるなんて、思わなかった。
でもそれは、これまでふたりで積み重ねてきた時間が、
やっと形になり始めた証なのかもしれない。

未来はまだ見えない。
けれど――
“ふたりでつくる未来”は、
こんなにも暖かい。

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