【恋愛日記⑬】☕ 4月14日 休日のカフェでの何気ないひととき

恋愛日記(あかりちゃん)

日曜日の午後、
少し風の強い春の陽ざしの下を歩いて、
駅前のカフェにあかりちゃんと向かった。

ガラス張りの店内には穏やかな音楽が流れ、
窓際の席には、陽がやわらかく差し込んでいる。
「ここ、落ち着くね」とあかりちゃんが言う。
彼女はカフェラテを頼み、僕はブレンドを。

運ばれてきたカップから立ちのぼる香りが、
静かに心をほどいていく。
外の通りを歩く人たちを眺めながら、
あかりちゃんはふと「春っていいね」とつぶやいた。

「どうして?」と聞くと、
「うーん、寒くもなくて、暑くもなくて、
 なんか、“ちょうどいい”って感じがするの。」
そう言ってストローをくるくる回しながら笑う。
その笑顔を見ているだけで、
確かにこの時間も“ちょうどいい”と思えた。

「ねぇ、あの旅行、もう半月前なんだね。」
「そうだね。桜、もう散っちゃったけど、
 写真、見返すとまだ咲いてるみたいだ。」
スマホを差し出すと、
あかりちゃんは嬉しそうに覗き込んで、
「この写真、私の顔ちょっと変じゃない?」と笑う。
「いや、いい表情してると思うけど。」
「もう、そうやって言うのずるい。」

小さな笑いが、湯気と一緒にカップの上に広がる。
外の風が少し強く吹いて、
窓の向こうで木々の枝が揺れた。
その音さえ、心地よく感じた。

ふと、あかりちゃんが
「ねぇ、こうして過ごす時間が一番好きかも」と言った。
「どこかに行くのも楽しいけど、
 こうして、ただおしゃべりしてる時間がいちばん落ち着くの。」

僕はうなずいて、
「わかるよ。なんか、“日常に君がいる”って感じがする。」と答えた。
あかりちゃんは一瞬きょとんとして、
それからゆっくり頬を染めて笑った。

「ね、それって……ちょっと嬉しいかも。」

カップを持ち上げるその仕草が、
春の光の中でやさしく見えた。
外では新しい季節の風が吹いているけれど、
このカフェの中には、
もう少しだけ長く続いてほしい穏やかな時間が流れていた。

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