あの「ココアの夜」から一週間。
季節は少しずつ冬らしくなってきて、
街を歩く人の息が白く見えるようになった。
今日は、あかりちゃんが休みの日。
特に予定を決めずに、
午後からうちでのんびり過ごすことにした。
「寒いね」と言いながら玄関を入ってきたあかりちゃんの頬は、
外気で少し赤く染まっていた。
マフラーを外す仕草がなんだか可愛くて、
「今日はゆっくりしていってね」と言うと、
「うん、そうするつもり」と笑った。
あの日と同じマグカップを出して、
またココアを作る。
甘い香りが部屋に広がると、
あかりちゃんが「この匂い、落ち着くね」と小さくつぶやいた。
ソファに並んで座って、
映画を流しながら、
気づけば肩にもたれていた。
「眠くなってきた?」と聞くと、
「んー、安心すると眠くなっちゃう」と、
少し照れた声で返ってくる。
彼女の髪が頬にかかって、
その温もりが、静かに心に染みていく。
窓の外では、薄い雲の切れ間から冬の光が差し込んでいた。
「ねぇ」
あかりちゃんが小さく言った。
「また来週も、こんな日がいいな。」
「うん、約束。」
そう答えると、
あかりちゃんがゆっくり笑って、
もう一度、肩に頭を預けた。
その瞬間、時間が止まったように思えた。
外は確かに冷たいのに、
部屋の中には、静かなぬくもりがずっと残っていた。

